思い出の匂い
これは、自分なりの持論であって、誰かに確かめたり、同意してもらってことはないのだけれど、今、ひとつ自信をもって言えることがある。
というか言いたい、そろそろ、と思っていた頃だった。
小学校の時、家の目の前に、それなりに大きい公園があった。
三人兄弟の末っ子の俺は、学校が終わり家へ急いで帰ると
すぐにその公園へ向かうのだった。
上の二人の兄弟とは、姉とは遊びが合わないし、兄とは年齢が離れすぎている、という点で一緒に遊ぶ機会なんてあんまりなかった。
いつもその公園で遊んでいた。
ある時一人になりたいことがあって、子供ながらにイッチョマエだなと思いつつも、
夜その公園へ行った。
その時はもう、その公園で遊ぶような年齢ではなくて、ベンチでダラッとしながら、懐かしいな、なんて思っていた。
ここでこいつとこんなことしたな、とか
あそこであいつに悪いことしたな、とか
あの時あの娘と一緒に来たな、とか
その公園では、地域行事なんかも行われてて、何かといろんな思い出が詰まった場所だった。
ふとその時気づいて、懐かしい匂いがした!って思った。
感覚で感じるというより、体が勝手にタイムスリップする感覚。
草の匂い?土の匂い?、排水溝の匂い?、排気ガスの匂い?
全部混ざったような、すっと鼻を抜ける匂い。
みんなこれを経験してるかしてないかは、わからないけど。
たまたま俺が、匂いで思い出を記憶しがちっていうことだと思う。
一方、冬のニオイがする、とか、夏のニオイがする、とかってよく言うから
みんなもそうなのかな?
その公園じゃなくても、同じ思い出の匂いがするところってあって、
俺は名古屋出身なんだけど、名古屋でも、東京でも同じ思い出臭がするところがある。
理屈的な話でいうと、
気温とか、風向き、湿度とか、環境とかによると思うんだけど。
でも思い出がこの地球の空気の上を漂ってるかもしれないとか、アホみたいなこと思ったりする。
名古屋のある公園の思い出が、気まぐれに東京に旅しに来て
俺にフワっと匂わせて、帰る。っていう。
切なくて、悲しい思い出も、楽しくて嬉しい思い出も、そうやって世の中を漂ってて
気まぐれにみんなに会いに来る。
それだったら、どんな思い出も愛せるな、と。
後悔も失敗も、あのときの匂いに乗って、たまに俺に会いに来るだけって考える。
逆に会いに行ってみたりする。
まあ、それができたら良いんだけど笑
だいたい勝手に来る気がする。
その瞬間、胸があったかくなってどんな感覚にも劣らないくらい好き。
みんなも、そういうよくわからない共感とか、感覚とかってある?
昔の思い出を思い出す時ってどんなとき?